「サヴェッジ・ナイト(Savage Night)」
Lion Booksより1953年7月に出版される。47歳。
本書はSHOEISHA MYSTERYより「サヴェッジ・ナイト」
扶桑社より「残酷な夜」のタイトルで出版されています。
扶桑社の「残酷な夜」にはスティーブン・キングの「注意!注意!ヒッチハイカーは逃亡中の異常者の恐れあり」が巻頭に収められている。これはキングがトンプスンを評したもので、リー・サーヴァー、エド・ゴーマン、マーティン・H・グリーンバーグと共同で"The
Big Book of Noir"の序文として寄せたもので、トンプスンの世界を理解する上で欠かせない資料だ。
ジェィク・ウィンロイは、ニューヨークの理髪師だったが市の政治家と組んでノミ行為をはじめ大規模なノミ屋組織を造り上げた。しかし組織は摘発、買収されていた悪徳政治家を名指しする重要証人となる司法取引に応じた事で釈放された。
彼は美しい妻のフェイと共に故郷のニューヨーク州の小さな田舎町に戻り小さな理髪店と下宿を営む。証言される事を恐れた政治家は暗黒街の黒幕にジェィクの暗殺を依頼したが、ジェィクが狙われているのは町の保安官も周囲の人々も周知している事から警戒が厳しい。
そこで白羽の矢が立ったのは身長5フィート、リトル・ビガーと呼ばれる殺し屋。数々の仕事を引き受け人殺しを繰り返してきたにも係わらず、彼の顔を知るものはいない。彼は小柄な身長を生かして年を誤魔化し、教員養成学校に通うカール・ビガロウという偽名でジェィクの家へで下宿する。
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彼は自らも肺病を患い死期が迫り、殺し屋稼業から足を洗い逃亡していた所を呼び戻されてしまったのだった。標的のジェィクは自己の命が風前の灯火である事を自覚し孤独で悲痛な日々を送っている。
誰にも疑われず彼を暗殺する機会を伺うカールの周りでは、夫を見限りニューヨークでクラブ歌手に返り咲く事を夢見る妻のフェイや町を出る機会を待ち望みながら下宿の家事を手伝う身体障害者のルース・ドーン、そしてもう一人の下宿人でパン工場で経理の仕事をする老人フィル・ケンドル等一癖も二癖もある人物が取り巻いていた。
共通するのは誰しもが現状に不満を持ち、ここではない何処かを目指して身を捩っている事だ。カールの出現によって、秘められた願望が動き出し事態は誰も予想しない方向へ向かって走り出していく。
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