「内なる殺人者(The Killer Inside Me)」
「内なる殺人者(The Killer Inside Me)」
Lion Booksより1952年9月出版。46歳。
後の1976年に映画化された。タイトル"The Killer Inside Me"
監督はバート・ケネディ(Burt Kennedy)

本書はジム・トンプスンの人生を変える大きな転機となった。この本の成功を期に
怒涛のように作品が生まれてくる。
苦難の人生を歩んできた彼が新興の出版社ライオン・ブックスを訪れて出遭ったのは名編集者アルバート・ハーノ(Arnold Halo)だった。ハーノは彼に設定やストーリーを与えて試しに一冊書いてくるように命じた。しかしトンプスンはそれを全く無視し持ち込んできたのが本書「内なる殺人者(The Killer Inside Me)」だ。これを読んだハーノは仰天且つ感銘し、これを出版する事にしたのだそうだ。

ウエスト・テキサスにある小さな町セントラル・シティの保安官補を勤めるルー・フォードは礼儀正しく、武器も携行していないそして退屈な男でもある。しかしその性格はかなり歪んでいた。

ある日彼は保安官のボブ・メイプルズから町外れにひっそり独りで商売している売春婦の様子を窺い、場合によっては町から追い出せと命じられる。そしてその判断は任せると。彼が出向き会ったジョイス・レイクランドは寝起きにも係わらず唖然とする程いい女だった。

彼が保安官補だとわかると態度を豹変させるジョイスだったが、それ以上にスイッチが入ってしまったのはルーの方だった。心ここに無い状態で口から漏れる懺悔の言葉とは裏腹に激しい虐待を加えるルー。またジョイスはその関係に喜びを見出しルーに盲目的に従属していく。二人で町を出ようと誘うジョイスはルーに手短に金を手に入れる方法があると言う。

それは町の実力者チェスター・コンウェイの息子エルマーがジョイスに入れ込んでいることを利用しようと云うものだった。チェスター・コンウェイ。彼はルーの兄を謀殺した男だった。かつてルーが犯した罪を被って何も語らず少年院に入ってくれた愛する彼の兄。表面上は波風の無い退屈な町が徐々に綻び始め狂気に満ちた実態が浮かび上がってくる。

そしてひとたび狂い始めた歯車は破滅に向かって加速していく。事態が手におえなくなって行けば行くほど、主人公の一人称での語口は、恐怖を生み出し緊張感が屹たってくる。その頂点となる結末では、なんとその描写がスローモーション化してしまう。見事だ。 「内なる殺人者」のレビューはこちら>>

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