最近の嗜好で堅めな本ばかりの僕の読書日記、それはそれなんでしょうが、僕個人として愛して止まない映画やミステリの方向へなかなか行けない、行きたい。皆さんも読み終わってしまうのが惜しいと思う本ってありますよね。誰もがそんな本との出会いを待ち望んで本を探していると思います。そんな訳でお気に入りミステリの紹介をしていくページを作りました。これから数あるミステリの中で面白い本を探している人のお手伝いをしていこうと思います。


This Contents


マイ・シューヴァル&ペール・ヴァール  
Maj Sjowall & Per Wahloo

「マルティン・ベックシリーズ」

本格的にミステリーの世界へ僕を引きずり込んでくれた、警察小説の白眉の名高いマルティン・ベックシリーズは全10巻。事件を追う刑事達のリアルな描写を主軸に1巻毎1年スリーズ全体で10年間の生活やストックホルム市警の歴史等が根底に描かれています。ジャーナリスト出身のペール・ヴァールと夫婦二人で書かれているという点でも大変かわった作品。

シリーズ最終作の「テロリスト」執筆中に夫のペール・ヴァールが急逝、完結が危ぶまれたが、生前にストーリーの骨格が完成していた事、それまで夫人のマイ・シューヴァルは限定的な参加に止まっていると思われていたが、実はストーリが決まると夫婦で章毎に交互に書いており、残りの章を夫人が全て書き上げて完成させたそうだ。これを読まずして警察小説を語るなかれ。

MWA最優秀長篇賞受賞した「笑う警官」はハリウッドで映画化。1974年に公開された映画「マシンガン・パニック」は、舞台を完全にアメリカに移し主役をウォルター・マッソーを据え渋めの展開。北欧調を狙ったのかバスの中で乱射されるマシンガンはSTEN MkU。しかし、スチュアート・ローゼンバーグも頑張ったが、やはり原作の重厚さと張り合うには佳作すぎた。

原作の雰囲気を余すことなく伝えているのは、ご当地スウェーデンの映画、「刑事マルティン・ベック」(1976年)だと思う。これは、「唾棄すべき男」を原作とした映画で、ベックを当地の俳優、カルル・グスタフ・リンドステット(Carl Gustaf Lindstedt)が演じているが、これがまた原作を髣髴とさせる雰囲気。市街地でヘリが墜落するシーン等スウェーデン映画の質の高さも味わえる出来だ。こちらはかなりお勧めの一品だ。

著作リスト

10)「テロリスト(The Terrorists)」           (1976)
9)「警官殺し(Cop Killer)」               (1975)
8)「密室(The Locked Room)」              (1973)
7)「唾棄すべき男(The Abominable Man)」        (1972)
6)「消えた消防車(The Fire Engine That Disappeared)」 (1971)
5)「サボイ・ホテルの殺人(Murder at the Savoy)」    (1971)
4)「笑う警官(The Laughing Policeman (Edgar Award) )」(1970)
3)「蒸発した男(The Man Who Went Up in Smoke)」    (1969)
2)「バルコニーの男(The Man on the Balcony)」     (1968)
1)「ロゼアンナ(Roseanna)」              (1967)

「ロセアンナ」のレビューはこちら>>


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トマス・ハリス 
Thomas Harris

レッド・ドラゴン )( )」

トマス・ハリスは書く本全部映画化という稀有な作家。「羊たちの沈黙」の前は所謂一発屋として認知されていたと思う。そのせいもあってか「羊たちの沈黙」と本書はほぼ同時、(しかも出版社が別)だったと記憶している。映画化された順番もばらばらだが、ここで書いている順番が時間軸的に正しい。未読の方は是非これから読み進む事をお勧めします。今でこそ、レクター物として括られていますが、本来はFBIの行動科学班とプロファイリング手法が主旋律。特に本作品では捜査官の犯罪現場や遺留品から犯人をプロファイルし、考え方まで読み取る能力に主軸がおかれています。また犯人が善悪の狭間で分裂していくプロセスは息を呑む展開で凄いの一言。これを契機に猟奇連続殺人物が続出、モデルになったFBI捜査官の実話が出版される等一つのトレンドを生み出した。

羊たちの沈黙

ハンニバル・レクターの強烈な印象と狡猾な行動で怒涛の展開を遂げる本書は驚愕と賞賛をもって迎えられた。映画もアカデミー賞を受賞する等大成功した金字塔的作品。正に読まずして何を語るか。一発屋と目されていたトマス・ハリスはキャラクター創造の天才として今後長くその地位を占めることになるであろう。ヒロイン、クラリス・スターリングの登場でまたしても読者の心を翻弄する。この映画を観られた方は大勢いると思います。ジョディ・フォスターのクラリスをはじめ、クロフォード、そしてDr.チルトン、スミソニアン博物館の昆虫学者まで、出演者はみんな素晴らしいけど、原作を読んでみるとキャラクターの原作に対する忠実さの点でも非常に努力している事がわかり面白さ倍増です。またこの映画はアカデミー賞作品賞を受賞していますが、118分の短い映画への長編小説のみごとな圧縮率にあると思う。しかし恐さの点でいえば原作はやはりすごい。収監されているレクターは六本指だったりするんだよ。

ハンニバル )( ) 」

シリーズが続くのか。はたまたこれっきりとなるのか、続くとすれば一体どうなるのか?多くの読者をヤキモキさせながら出版された本書は、いろいろな意味で読者を驚かせた。映画化にあたり描写がグロすぎるという理由で、ジョディ・フォスターが降板した事から、クラリスはジュリアン・ムーアが演じる事になり、プロモーションで世界中を回ったアンソニー・ホプキンスがしつこいインタビューにブチ切れたりと話題性十分なニュースも提供してくれた。ゴシックな雰囲気で展開するレクターの私生活、過去。またしてもストーリを激震させるキャラ、ヴィージャー。果たしてクラリスはどう動く。こんなお話を書くことが出来たらさぞ幸せであろう。もっとたくさん書けばいいのに、スティーブン・キングも言っている通り、普段一体何しているんでしょうか?映画界では日本への逃亡説が浮上するなど混迷する状態が続いている。シリーズが続くのか。はたまたこれっきりとなるのか、続くとすれば一体どうなるのか?だれか教えてくれ-
僕同様に最新ニュースがとても気になる方はトマス・ハリスのオフィシャルサイトから、メーリングリストへの登録も可能だ。

ハンニバル・ライジング(上)(下)」

トマス・ハリスの新作に接する事は一つの幸せである。非常に寡作な作家で、これまでたった5冊の本しか書いていないのに紛れもない大作家として認知されている。
しかもその5冊はどれも映画化されているというのもまた凄い話だ。これが何よりトマス・ハリスの本が面白いという証拠だろう。

まだどれも読んだ事がない人は幸いである。何より今から驚きに満ちたこの物語を新鮮な心で読むチャンスが残っているからだ。

焦って読んでも、大事に読んでも5冊はあっと云う間。読み切ってしまえばもう後はトマス・ハリス御大がその重い腰を上げて次ぎの作品を仕上げてくれるのを待つしか方法がないのだ。

僕は「ブラック・サンデー」から5年、10年と待たされる生活をこの30年続けてきているのだよ。

もしあなたが、一冊も読んでいないのなら、一気に5冊を全部読もうなどとはしない事だ。そんな事は、そんな贅沢な事は僕が許さない。

あなたが、もし仮に全然読んでいなくて、映画も観ていなくて、予備知識もないなら、だまって出版年次の古い本から手にするべきだ。

安易に映画から入ろうなんて思ってはいけない。どれもその映画のできは一級(レット・ドラゴンの最初の映画は見てないので分からないけど)だが、本の方が圧倒的に「良い」のだ。それは絶対に間違いない。

そして、今回「ハンニバル」から約7年待って漸く届いたのが「ハンニバル・ライジング」だ。「ハンニバル」の後、次は日本が舞台になるらしいという噂がたった事があったけど、「ハンニバル・ライジング」はずっと時代を遡って、レクターの少年時代、正にハンニバルがライジングする課程が描かれているのだ。

両親と死に別れ、幼い妹ミーシャと共に戦火をくぐり抜けるレクターだが、飢えた大人達に捕まり、ミーシャは喰われてしまったらしい事。その出来事がレクターをカニバリズムに走らせているらしい事が読めるかもしれないのだ。

かつての三部作にちりばめられて描かれていたレクターの過去がここに。

本を開くと宮本武蔵の筆による「枯木鳴鵙図」そして物語には紫夫人と云う日本人がレクターの後見人となって一緒に暮らし日本文化がレクターの価値観に大きく影響を与えている事が明らかになる。

過去に戻る事で大変な制約を抱えた物語の展開となる訳だが、読者を驚かせる事について、トマス・ハリスははやり右にでるものがいない。

前作「ハンニバル」の濃厚さから比べるとやや薄味で展開の早さを優先させる運びとなっている感じではある。7年も待たされてこれだけか。と云うような物足りなさがない訳ではない。

しかし、それはトマス・ハリスに飢えたファンであるからこそなのかもしれぬ。一度読み始めたら最後、相当の意思をもって当たらないと目を離せなくなるのだ。これはもう読むしかないですぜ。


著作リスト
「ブラックサンデー(BLACK SUNDAY)」      (1979)
「レッド・ドラゴン(RED DRAGON)」      (1989)
「羊たちの沈黙(THE SILENCE OF THE LAMBS)」 (1989)
「ハンニバル(HANNIBAL)」          (2000)
「ハンニバル・ライジング(Hannibal Rising)」 (2006)

「カリ・モーラ」のレビューはこちら>>


The Silence of the Lambs
Buy at AllPosters.com


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ポール・リンゼイ
Paul Lindsay


目撃

現役FBI捜査官によるミステリという事で話題を読んだが、従来のFBI捜査官のイメージとは程遠い人間臭さと時に大爆笑を呼ぶギャグで読む者をあっという間にストーリーに引き込んでいく。仕事と家族を愛するアイルランドの血を引く捜査官デブリンの行動基準は理屈を超えて胸に直撃、ラストのカタルシスの開放は、ほんとスカッとしまっせ。

宿敵

シリーズ2作目は、キャラクターの描写も安定してきて、大変読みやすい。バイカーズが屯する危険なバーで火炎放射器を背負ってゴーストバスターズのテーマを歌うシャナハン捜査官は一押し。マルティン・ベックシリーズの重要なキャラクターの一人であった、グンバルド・ラーソンを(懐かし-)髣髴とさせるキャラです。1作目同様、爆笑シーンとカタルシスを開放してくれるラストは読者の期待を裏切らない。

殺戮

ディズニー・ランドを連想させる巨大なテーマパークに仕掛けられたテロ。シリーズ最大の強敵、フリーダムキラー。どうするデブリン。どんなにひどい目にあっても奥さんへの気配りは忘れないタフガイさも見逃せません。現役から元FBI捜査官へ、新シリーズの上梓等今後の活動に大いに期待できる数少ない作家。



2005/07/31:「鉄槌」のレビューを追加しました。こちらもかなり傑作です。
レビューはこちらからどうぞ>>

「応酬」のレビューを追加しました。こちらからどうぞ。

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トマス・ブロック
Nelson DeMille


超音速漂流

面白い!!なぜ映画化されないのか。新型ミサイルの試射は、目標を反れ民間ジャンボ機を直撃、ジャンボ機は墜落こそ免れたものの、機体には甚大な被害が。無酸素症により暴徒化する乗員乗客。事件を揉み消そうとする空軍上層部。旅客機内で辛うじて難を逃れた主人公たちの運命は?実は作者はネルソン・デミルだった。という新たなどんでん返しのおまけ付の本。

ネルソン・デミルの「アップ・カントリー」の読書日記をこちらでご覧頂けます。

ネルソン・デミルのオフィシャルサイトはこちら


2009/06/07:新装改訂版の「超音速漂流」のレビューを追加しました。巻末にはトマス・ブロックとネルソン・デミルの関係も明らかになっており、再読の方にも十分満足な内容になっておりました。レビューはこちらからどうぞ>>



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ドン・ウィンズロウ
Don Winslow

2005/09/11:ドン・ウィンズロウの記事を刷新しました。

ストリート・キッズ(A Cool Breeze on the Underground)」(1991)

1953年、ニール・ケアリーはニューヨークのアッパー・ウェストサイドに生まれる。母はヤク中の売春婦で父親の顔は知らない。9歳からスリで生計を立てるストリート・キッズだった。

11歳になったある日カモにしようした小柄で片腕の男は、小規模ながら堅実な地方銀行の特殊な顧客サービスの実現の為に作られた組織「朋友会」の男ジョー・グレアムだった。

この縁でニールは片腕の男の下請けとして探偵技術を仕込まれながら成長していく。グレアムを手伝う事で朋友会の支援を受け、名門私立のトリニティ校を経て、アイヴィー・リーグのコロンビア大学へ進学。トバイアス・スモレットについて修士論文を書こうとしている。

トバイアス・スモレット(Tobias Smollett)について
トバイアス・スモレット(1721年〜1771年)は、イギリスの上流階級に生まれ医師の資格を持っていた人物だがかなり波乱に満ちた人生をおくった人物のようで、1748年に出版れさた「ロデリック・ランダムの冒険(The Adventures of Roderick Random)」は半自伝的作品で『ロビンソン・クルーソー』に並ぶとも云われる傑作。と同時にピカレスク小説の古典的傑作とも云われる。

ニールの初めての本格的な仕事は1976年5月。23歳の時。家出した副大統領候補の娘を探して連れ帰ることだった。8月には民主党全国大会が予定されており、娘の失踪はスキャンダルに通じ、大会には候補の家族全員が揃って参加しないと選挙を戦えないのだ。

ニールは娘の足取りを追って霧の街ロンドンへ単身赴く。そしてヨークシャーの荒れ野へと向かうニールを待つ運命とは。機械音痴のニールがゴードン−−キーブルで爆走するシーンは忘れられません。何度読んでも耐えうるストーリーと人物描写。愛すべき主役たち。

本書は、1991年MWA最優秀処女長編賞候補になった。

仏陀の鏡への道(The Trail to Buddha's Mirror)」(1992)

1977年3月。候補の娘失踪事件から7ヵ月後、ニール24歳。失踪事件の後始末の混乱からヨークシャーの荒れ野に隠栖していたニールの所へ片腕の男が訪ねてきた。

その時、ドアを開けるべきではなかった。

大学復帰を条件にグレアムが持ち込んできた仕事は、失踪した生化学者を捜せというものだった。

その生化学者は、鶏糞から強力な成長促進エキスを作り出す事に成功したが、心を奪われた一人の姑娘と一緒に消息を絶ったのだった。成長促進エキスのレシピと共に。

手掛りを伝ってサンフランシスコへ向かい生化学者のペンドルトンの潜伏先を訪ねるニールが出会ったのは絶世の美女李藍(リ・ラン)だった。

そしてそこには正体不明の襲撃者が。ニールは銃撃の混乱で二人を取り逃がしてしまう。

再び彼らの足取りを追って香港、九龍、そして更には中国奥地へ。そこでニール待っている運命とは。壮大なスケールで展開するニールの追跡劇は李藍(リ・ラン)そして紹伍(ショー・ウー)忘れられないキャラクター満載で展開していく
シリーズ中僕は一番好きかな。

僕の中でニールはT2の時のエドワード・ファーロングあたり、これは議論のある所。しかし片腕の男はダニー・デビート、誰がなんと言おうと、こっちは絶対譲れないな。

高く孤独な道を行け(Way Down on the High Lonely)」(1993)

1981年。27歳を向かえたニールは、ニューヨークの下町と違う星に住んでいるのと同様な程、遠く離れたチベット密教の寺院で暮らしていた。

この幽閉生活ももはや3年。言葉も覚え、修業にも食文化にも無理無理なじみ、伏虎拳の習得に専念する日々のニールの所へ西洋人の客人が現れた。振り向くとそこには小柄で片腕の男が。男は言った「休暇は終わりだ。」

断じて振り向くべきではなかったのだ。

父親にさらわれた二歳の赤ん坊を無事に連れ帰れ。またしても大学復帰を条件にこれを引き受けウェスタン映画さながらのネヴァダの辺境へ向かうニール。そして彼を待受けていたものは、白人至上主義の不穏なカルト教団の影だった。

朋友会からの新たな支持は「潜入せよ」というものだった。決死の潜入工作は成功するのか?またしても想像を超えたスケール感でラストの大団円を迎えるストーリは素晴らしい。

特にダビデ星のライトアップは笑いながらも涙しました。シリーズ全体に流れる切なさは、得がたい作家です。

ウォータースライドをのぼれ(A Long Walk up the Water Slide)」

1982年。望んだ訳でもないのに孤独の高みへと漂流させられるような目にあった前回の事件から数ヵ月後、事件で出会ったカレン・ホーリーと一緒になんとか生活に落ち着きを見せだしたある日、目覚めるとリビングで片腕の男が物凄く良い香りのコーヒーを飲んでいた。

「実に簡単な仕事でな、坊主」
絶対にあのコーヒーを飲むべきではなかったのだ。

それはアメリカの良心とも云えるような人気TV番組「ジャックとキャンディーのファミリー・アワー」のホストが起こしたレイプ疑惑事件に関係するものだ。

この事件の被害女性のポリー・バジェットを裁判できちんと証言できるように磨き上げる事、これが今回の任務だった。誰かを捜すためにどこかへ行く必要もなければ、何かをしに出掛けて行く必要もないのだ。

なぜならポリーはもう捜し出して、ここネヴァダの彼等の家の外まで連れて来ているからだ。
「な、簡単だろ。」

ケーブルテレビの巨大な利権に加え、建設中の巨大娯楽施設キャンディランドを巡って複雑に絡み合う利害者がこぞってポリーの行方を追い求めている。

ネヴァダの辺境に偽名で暮らすニールの家は最高の隠れ家になると思われたが、やがてこれを嗅ぎ付けて一癖も二癖もある連中が集まり始める。果たしてポリーはまともに喋れる様になるのか、そしてその運命は。さらに、ニール、カレンをはじめ前作から加わったプローガンそして、ブレジネフの運命は。

シリーズには第5弾 While Drowning in the Desert (1996)があり、 未訳の完結編。しかしこちらは後日談的性格の作品なのだそうで、実質的にはこの「ウォータースライドをのぼれ」がニールの最後の冒険なのかもしれない。(でも東江さん、ちゃんと待ってますからね)

書評では意見が割れているようだが、僕は良いと思う。これ以外の展開と幕切れで皆さん良いとでも言うのか。またニールの影が薄いと仰っている方もいるようだ。

確かにちょっとね。しかし通常の探偵小説の探偵が事件の傍観者的存在なのに対し、ニールは事件の当事者と交感しあい正にその渦中で彼の心情によって事件と物語が展開していくというシリーズの特徴は少しも損なわれていない。

というか、毎回お決まりの板挟み状態は今回のが今までで最悪かもね。ニールがみずみずしい感性で、活躍する冒険譚シリーズ全体を締めくくる見事な着地であったと思うのだ。大好きニール・ケアリー!!

さて、最初から読み返すか〜!

本編で誕生したウォルター・ウィザーズは「歓喜の島(Isle of Joy)」で舞台を1958年のニューヨークへ移し再登場している。

ドン・ウィンズロウ(Don Winslow) について

東江さんのあとがきを読む限り本名ではない?同名でアメコミに海軍のヒーローというキャラクターがいて愛国心満々で悪漢をばんばんやっつけるという内容だそうだ。その経歴もどこまでホント?という部分がかなりある。

しかし著書を読む限りあながち否定もできない。どこまでも不思議な人だ。

1953年10月31日ニューヨーク市生まれ。父は海兵隊員。(やっぱり本名かもね)子供の頃に地元の劇場やラジオの広告子役として出演した事がある。ネブラスカ大学でジャーナリズムを専攻、三年の時にアフリカへ渡航、ケープタウン大学の調査員兼フリーランサーの新聞記者として働いた。

またTEACHという組織の為にアメリカから資金を運んだりするような仕事も引き受けていた。どうもアパルトヘイト抵抗活動に協力していたという事のようだ。

その後アメリカに戻ったドンは大学を卒業、モンタナで牧童のような仕事についたかと思えばニューヨークで劇場経営やその用心棒を勤めたり、ロンドンとアムステルダムで探偵をやったり、かと思えば国際テロ対策組織でシュミレーション訓練に係わったりと不思議な経歴を重ねている。

その後大学院に入りアフリカ史の学士号と軍事史の修士号を取ったかと思えば、ケニアのサファリガイド、保険金詐欺の調査員。(この経験をが元に「カリフォルニアの炎」が生まれたらしい。)法律事務所の調査員や証人の証言準備の手伝い?なんかもやったという。

そしてニール・ケアリーが誕生するきっかけになったイギリス国防省の調査活動の仕事この仕事でロンドンにいたとき、背中の骨を折って、長い入院生活を送ることになり時間つぶしと、現実逃避の為にストーリーを練り始めたのだそうだ。ニールの物語も自身の経験に基づくものだという事です。

他にも教師、臨時雇いの覆面警官、フレンチドレッシングの大桶にケチャップをぶち込む係り、そのドレッシングの配達係り、どさ回りのボードビルショウでブリキの横笛を吹いたり、取り落としたりする役、これらの職業はなんか、フリーランスの工作員が偽装で就いた仕事のように見えなくもない。

南米で起きた人民蜂起のきっかけを作ったのはCIAの工作員だが、その際彼らは大道芸をやって人を集めたという話もある。このいろんな商売もいつどこで経験したのかが問題だよね。

特技は第三世界での暴動を現地人の部隊を使って鎮圧する事というから、ほんとどんな人なの?

折りしも世に出た新作"The Power of the Dog"南米、麻薬カルテルを背景に展開する物語だという事でこちらも期待十分。

砂漠で溺れるわけにはいかない(While Drowning in the Desert)」

2006/08/26:数年分の盆と正月が纏めてやってきたかのように嬉しい。って言っても僕自身子供の頃にお盆ではしゃいだ記憶はないのだが。

何を置いても早速貪るように一気読みさせて頂きました。

朋友会から廃疾者として退職扱いとなる事で平静な日々を送り、学業に戻る事もできたニール。カレンとの結婚を二ヶ月後に控えて、いよいよ愛を深め合っている二人。

ダイエット・ペプシを取りに二人で入っていた湯船を出ると電話が鳴った。相手はグレアム。「ごく短期の仕事、いや仕事と呼ぶのもおこがましい。雑用だな。」

その雑用とは、ふらりと家を出てラスヴェガスに行ってしまった爺さんを迎えに行けと云うものだった。

この爺さんはちょっとボケ始めていて、金持ちで朋友の姪御さんが心配していると云う事で近くに住んでいるニールに仕事が出来たという事なのだった。何も裏がないハズはない訳なんだけど。

その爺さんの名はネイサン・シルヴァースタイン。そして宿泊しているホテルも部屋もわかっていて、ただ迎えに行って連れて帰ってくるだけでいいと云うのだ。

簡単な雑用ね。絶対に何か裏があると思うな。湯船に戻るとカレンが泣き喚いている。唖然とするニールだが、カレンは叫ぶのだった。

「赤ちゃんが欲し〜い!」

湯船から出るべきではなかった。

ニールがラスヴェガスの指定されたホテルに出向くとネイサン・シルヴァースタインは間違いなく宿泊していた。そして彼は実はニールも知っている往年のコメディアン、ナッティ・シルバーでもあったのだった。

延々と喋り続け、あーでもない、こーでもないとニールを翻弄する爺さん。やがてニールの手をすり抜けて逃げ出してしまう。そしてそれには訳があったのだった。

ニールとシルヴァースタインの漫才のようなやりとり。元ナチのハインツ、アラブ人のサミ。前作の「ウォータースライダーをのぼれ」のポリーに通じる訳のわからんセリフは大爆笑であった。

元コーラス・ガールのホープ・ホワイトをはじめ悪徳弁護士のユージーンと対峙するクレイグやパミラ等、一発キャラにしておくのは勿体無い程の存在感の登場人物満載。またもやあっと言わせる展開から見事な大円団。そして意外な余韻を引いて幕を落とすストリーリーは素晴らしい。感無量でした。

ストリート・キッズ、ニール・ケアリーシリーズ最終巻をとうとう手にする日が来てしまった。いよいよお終いかと思うと、やや複雑な気持でもある。なんといっても13年半に渡ったお付き合い。

考えてみると、息子が生まれた年だったんだね〜。

こんな稀有な本に出会う事が出来て、堪能する事ができた事こそ、本読みの悦びである訳だが。何より、ある意味「殺意」すら秘めるような熱烈なファン層の期待から逃げも隠れもせず、最後までこの仕事を完遂してくれた東江一紀氏に感謝である。

終ってみれば、次回作を待ち焦がれ、身をよじりつつ本当に最後まで行ってくれるのか、どうなのかと云う面で、かなりスリリングな期待と不安の炎を長い期間抱き続けるという愉しみを与えてくれたとも言える。

いやいや思えば濃厚な歳月の一味であった事は確かで、期待と不安。そして笑って、泣いて尚且つ癒され、励まされ、僕も少しは成長してきたなんて言っても良いのだろうか。

まだまだ内容が乏しいけれど、ドン・ウィンズロウのオフシャルサイトが立ち上がっていた。

http://www.donwinslow.com/

現在"The Winter of Frankie Machine"の出版を真近に控え、"Power of the Dog"もかなり上々の出来であるらしい。
今後のウィンズロウの活躍には大いに期待したいところである。
そしていつかまた再びどこかでニールに出会える事にも。


ニール・ケアリー・シリーズ

・「ストリート・キッズ(A Cool Breeze on the Underground)」(1991)
                  →1993年11月19日初版
・「仏陀の鏡への道(The Trail to Buddha's Mirror)」(1992)
                  →1997年3月14日初版
・「高く孤独な道を行け(Way Down on the High Lonely)」(1993)
                  →1999年6月25日初版
・「ウォータースライドをのぼれ(A Long Walk up the Water Slide)」(1994)
                  →2005年7月29日初版
・「砂漠で溺れるわけにはいかない(While Drowning in the Desert)」(1996)
                  →2006年8月11日初版

その他の小説
・「歓喜の島(Isle of Joy)」(1996) →1999年9月25日初版
・「ボビーZの気怠く優雅な人生(The Death and Life of Bobby Z)」(1997)
                  →1999年5月25日初版
・「カリフォルニアの炎(California Fire and Life)」 (1999)
                  →2001年9月25日初版
・「犬の力(The Power of the Dog)」(Apr. 2005)
・「フランキー・マシーンの冬(The Winter of Frankie Machine)」 (2006)
・「夜明けのパトロール(The Dawn Patrol)」 (2008)
・" The Gentlemen's Hour"(2009)
・「野蛮なやつら(Savages)」 (2010)
・" About Tommy Flynn"(2011)
・「サトリSatori」(2011)
・The Kings of Cool (2012)
ノンフィクション
"Looking for a Hero: Staff Sergeant Joe
    Ronnie Hooper and the Vietnam War "(Jan. 2005)
ピーター・マスロフスキーとの共著




「犬の力」のレビューはこちら>>

「フランキー・マシーンの冬」のレビューはこちら>>

「サトリ」のレビューはこちら>>

「夜明けのパトロール」のレビューはこちら>>

「野蛮なやつら」のレビューはこちら>>

「紳士の黙約」のレビューはこちら>>

「キング・オブ・クール」のレビューはこちら>>

「ザ・カルテルこちら>>

「報復」のレビューはこちら>>
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ジョー・R・ランズデール
Joe R. Lansdale


ムーチョ・モージョ

東テキサスの貧乏人コンビ、ハップとレナード。何かにつけちょっとずれた設定と下品で笑える会話に載って展開するストーリー。なんだろう?破天荒と呼ぶべきなのか、こんなのは読んだことがない。読んで病みつきになる層と、全く受け付けられない層にくっきり分かれるのも面白い。僕は折り返し3回読み返しました。

罪深き誘惑のマンボ

かつての恋人フロリダを探して訪ねた街グローブタウンは、開拓時代よりも始末の悪い白人至上主義の街だった。黒人のレナードと友達なだけでも問題なのに、本人は自他共に認めるタフガイ、で しかもゲイ。無事に街から出られるかどうかも怪しい状況設定で、はたしてフロリダを見つけ出せるのか?

バッド・チリ

レナードの恋人ラウル(男)が死体で発見された。またしても降りかかる災難に敢然と立ち向かうレナードとハップ。タフでセクシーな赤毛の女ブレッド登場。赤毛の女には気をつけろ。彼女が加わり会話の下品さも、止まるところ知らず。目指すは有害図書指定?

人にはススメられない仕事

ブレッドの娘を売春宿から救い出せ。バイク団の支配する危険な町へ向かう三人の運命は?どう考えても行き当たりばったりで、予想外な展開を見せるストーリを紡ぐ作者の不思議な力量に僕はすっかり虜。従来とは違いかなりビターな後味を残すシリーズ4作目。これからどうなって行くのか。そしてアルマジロの運命は?

テキサスの懲りない面々

暴漢に襲われた少女を救いお礼をもらったハップは、レナードとカリブ海クルーズへ。天下泰平そんな設定がそうそう続く訳もなく、最初の寄港地でいきなりおいてけぼりをくった二人はメキシコの無法地帯で孤立無援に。惜しげもなく切り出す大きなカードで大波乱となる展開。おいおいシリーズものだぞ、キャラは大切にせんと。4作目同様ビターな余韻を残す読み味は作者の計画か、それとも何も考えていないのか。

ご本人のサイトはこちらから、でもあまりまめには更新されてないみたいだ。

読書日記に「ダークライン」を追加しました。こちらも是非どうぞ

「ロスト・エコー」のレビューを追加しました。こちらからどうぞ。

「ババ・ホ・テップ」のレビューはこちら>>


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ジェイムズ・リー・バーク
James Lee Burke


シマロン・ローズ

弁護士ビリー・ボブは元テキサス・レンジャー。不法越境する麻薬密輸組織のメキシコ人達を馬で追い、撃ち殺す事が正義だった。敬愛するパートナーL・Q・ナバロを誤射して死なせた過去を引きずりながら生きる。何といっても死んだはずのL・Qが重要なキャラとして登場するストーリが特徴。幽霊だよ。しかも最高にクール。1998年度MWA最優秀長篇賞受賞

ハートウッド

かって愛した人は、大富豪の夫人となって再びビリー・ボブの街へ。彼女の再来は遠い過去の秘められた事実を引きずり出し、多くの人の運命を狂わせて行く。シリーズ2作目。L・Qファンとしては登場場面が控えめで若干消化不良でした。

ご本人のサイトはこちらから

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ジェイムズ・エルロイ
James Ellroy


アメリカン・タブロイド )( )」
アメリカン・デストリップ )( )」

「ホワイト・ジャズ」で新境地を開き、時代を突き抜けたジェイムズ・エルロイのアンダーグラウンドUSA3部作。翻訳本がどこまで原文を模倣できているかは語学力不足で残念ながら知る芳もないが、さらにスピード感に磨きをかけ、乾いていて徹底的に削ぎ落とされた文体で語られる若き日のアメリカ。ケンパー・ボイド、ウォード・リテル、ピート・ボンデュラントという主人公達が、ケネディ暗殺を中心とした史実と史実、事件と事件の間を黒く塗りつぶしていく。それは、「フォレスト・ガンプ」の暗黒版といった切り口だ。政治により、集団心理によって行われてきた真実のアメリカの姿を焙り出してくる。それは、自己中心的且つ人命軽視・物欲優先の忌むべき姿であり、現在にも脈々と受け継がれている。そう、正に現在進行形で。1960年代前半生まれの僕たちの時代を改めて新しい視線で振り返る旅ともなる。3部作として紹介されながら、第3部は、まだ出版されていない。

「日本語版未出版(Destination: Morgue! : L.A. Tales )」      (2004)
「アメリカン・デス・トリップ(The Cold Six Thousand)」       (2001)
「クライム・ウェィブ(Crime Wave)」                (1999)
「日本語版未出版(LA Noir)」                    (1998)
「わが母なる暗黒(My Dark Places)」                (1996)
「アメリカン・タブロイド (American Tabloid)」           (1995)
「ハリウッド・ノクターン(Hollywood Nocturnes)」          (1994)
「ホワイト・ジャズ(White Jazz)」       暗黒のLA四部作    (1992)
「LAコンフィデンシャル(LA Confidential)」 暗黒のLA四部作    (1990)
「ビッグ・ノーウェア(The Big Nowhere)」   暗黒のLA四部作    (1988)
「ブラック・ダリア(Black Dahlia)」      暗黒のLA四部作    (1987)
「キラー・オン・ザ・ロード(Killer on the Road)」         (1986)
「自殺の丘(Suicide Hill)」      ロイド・ホプキンス・シリーズ(1986)
「ホプキンズの夜(Because the Night) 」ロイド・ホプキンス・シリーズ(1984)
「血まみれの月(Blood on the Moon) 」 ロイド・ホプキンス・シリーズ(1983)
「秘密捜査(Clandestine)」                     (1982)
「レクイエム(Brown's Requiem) 」                 (1981)


「アンダーワールドUSA」のレビューはこちら>>


「背信の都 」のレビューはこちら>>

「クライム・ウェィブ」の読書日記をこちらでご覧頂けます。

獣どもの街」のレビューを追加しました。

凄く渋いご本人のサイトはこちらから。



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マイクル・コナリー
Michael Connelly


「ナイト・ホークス( )( )」

ベトナム戦争帰りのLAPDの刑事ヒエロニムス・ボッシュ。戦地では敵の潜伏する真っ暗闇のトンネルへ単身乗り込むという、何とも神経をすり減らす任務を負うトンネルネズミだった。ある日かつて戦友がロスの地下で死体となって発見された。こんなところで何をやっていたのか。悲しい生い立ち。戦争で受けた心の傷。二転三転する事件捜査を交錯させて進むボッシュ・サーガーの第一作。リアルでハードで乾いた描写。ど派手な急展開で読む者の心をつかんで離さない。未読の方はぜひこの記念すべき第一作から順にどうぞ。

ご本人のサイトはこちらから。

ハリー・ボッシュ・シリーズ


“The Overlook” (2007)
“Echo Park” (2006)
「終決者たち(The Closers)」           (2005)
「天使と罪の街(The Narrows)」          (2004)
「暗く聖なる夜(Lost Light)」         (2003)
「シティ・オブ・ボーンズ(City Of Bones)」   (2002)
「夜より暗き闇(A Darkness More Than Night) 」(2001)
「堕天使は地獄へ飛ぶ(Angels Flight)」     (1999)
「トランク・ミュージック(Trunk Music)」    (1997)
「ラスト・コヨーテ(The Last Coyote)」     (1995)
「ブラック・ハート(The Concrete Blonde)」   (1994)
「ブラック・アイス(The Black Ice)」      (1993)
「ナイト・ホークス(The Black Echo)」     (1992)

シリーズ外の本

「日本語版未出版(The Lincoln Lawyer)」    (2005)
「チェイシング・リリー(Chasing The Dime)」  (2002)
「バッドラック・ムーン(Void Moon)」      (2000)
「わが心臓の痛み(Blood Work)」        (1998)
「ザ・ポエット(The Poet)」          (1996)


「潔白の法則」のレビューはこちら>>

「警告」のレビューはこちら>>

「ザ・ポエット」のレビューはこちら>>

「鬼火」のレビューはこちら>>

「素晴らしき世界」のレビューはこちら>>

「汚名」のレビューはこちら>>

「レイトショー」のレビューはこちら>>

「訣別」のレビューはこちら>>

「燃える部屋」のレビューはこちら>>

「罪責の神々」のレビューはこちら>>

「ブラックボックス 」のレビューはこちら>>

「転落の街のレビューはこちら>>

「証言拒否のレビューはこちら>>

「判決破棄」のレビューはこちら>>

「ナイン・ドラゴンズ」のレビューはこちら>>

「スケアクロウ」のレビューはこちら>>

「真鍮の評決」のレビューはこちら>>

「死角 オーバールック」のレビューはこちら>>

「エコー・パーク」のレビューはこちら>>

「リンカーン弁護士」のレビューはこちら>>

「天使と罪の街」のレビューはこちら

「終結者たち」のレビューはこちら>>

「暗く聖なる夜」のレビューはこちら>>

「チェイシング・リリー」のレビューはこちら>>

「シティ・オブ・ボーンズ」のレビューはこちら>>

「夜より暗き闇」のレビューはこちら

「夜より暗き闇」のレビュー(書き直し)はこちら>>

「バット・ラック・ムーン」のレビューはこちら>>

「わが心臓の痛み」のレビューはこちら>>

「エンジェルズ・フライト」のレビューはこちら>>

「トランク・ミュージック」のレビューはこちら>>

「ラスト・コヨーテ」のレビューはこちら>>

「ブラック・ハート」のレビューはこちら>>

「ブラック・アイス」のレビューはこちら>>

「ナイト・ホークス」のレビューはこちら>>



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